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フランスの田舎病院での看護師の態度

私の夫は、フランス人です。その夫の祖父が10年前に病気で倒れ、入院していた時の話です。



夫一家は地方の田舎町に住んでおり、義祖父もその町で唯一の病院に担ぎ込まれました。入院が長くなりそうな気配がしていましたが、義父(義祖父の息子)と義母は毎日病院へ行き、不安そうな義祖母に付き添ったのです。



ある時、小康を保っていた義祖父が、「腹が痛い、何とかできんか」と言い出しました。たまたま義祖母・義父母が3人とも居合わせたところで、義父はすぐに看護師を探しに行ったのです。ところが探せど探せど、フロアのどこにも看護師の姿は

ありません。時計を見て休憩どきだったのを確認し、職員用の給湯室らしき所を探り当てて、義父は入りました。10人ほどの看護師たちが、立ったままヴィエノワズリー(菓子パン)を食べて、談笑をしている所でした。



「休憩中の所申し訳ないが、うちの父が痛みを訴えているので、どなたか来ていただけませんか」と、義父は礼儀正しく彼らに向かって頼みました。近くにいた婦長格の女性が、「食べたらすぐに行きますから」とそっけなく言い、彼女らは義父がそこにいることを無視するように、悠然と談笑に戻ったのだそうです。



温厚な義父でしたが、さすがに煮えくり返る思いで病室に戻り、いらいらとして看護師が来るのを待ちました。義母に言わせるとそれは10分ほどの待ち時間だったそうですが、義祖父母や義父には、果てしなく長く思われたのではないでしょうか。



その後、義父は義祖父を隣県の大きな大学病院に移動させることにしました。はっきりとそう言われたわけではありませんが、それまでの経緯から、義父があの看護師たちの態度に大きく失望したことが、その原因であるということは確かです。義父は今でも、ヴィエノワズリーを嫌いだと言い、決して口にしません。